
岩手大槌
サーモン
弓ヶ浜水産では2022年4月、岩手県大槌町に太平洋側初となる大槌海面養魚場を開設し「活〆岩手大槌サーモン」の養殖を開始。
ここでは、その岩手大槌サーモンの成長から出荷までの流れを
ご紹介いたします。
岩手大槌サーモン大槌町復興のシンボルへ

養殖部東日本事業所は、淡水養魚場(胎内市)と海面養殖場(大槌町)の2拠点で活動しています。
- 新潟県胎内市にある胎内養魚場
サクラマス稚魚を採卵・人工授精から一貫して生産しています。ギンザケは卵から稚魚までの飼育を行い、主に佐渡の海面養魚場向けの稚魚を生産しています。
- 大槌町の海面養魚場
大槌川上流の淡水養魚施設にて育てられた稚魚を買い付けし、船越湾吉里吉里漁港沖合いの海面養殖場にて、8基のサークル生け簀で11月~翌年の7月中旬まで養殖を行います。
岩手県などの三陸海岸は、リアス海岸と呼ばれる入江や岬が複雑に入り組んだノコギリの刃のような海岸になっており、水深が深く湾内は波が穏やかなため、養殖がしやすい環境です。
また東北地方は、サーモンの飼育限界と言われる水温20℃になるのが7月半ばと、西日本と比べはるかに遅いため、長期間飼育できることから、より大きく脂の乗ったサーモンへと仕上げることができます。
新巻鮭発祥の地・岩手県大槌町
岩手県大槌町は、新巻鮭発祥の地として知られており、鮭との歴史が深い町です。
大槌町で始まった「岩手大槌サーモン祭り」は、2020年の大発表会から始まり、毎年6月に開催されています。来場者は町内外をはじめ県外からも参加いただき、毎年大勢の方が来られる春の代表イベントとなっています。イベントの目玉は、弊社の岩手大槌サーモンのつかみ取りです。海面生け簀より当日、会場に活魚車で運搬し、特設の円形プールでつかみ取りチケットをゲットした人のみがチャレンジできます。子供から大人までチャレンジでき、毎年参加している常連の方もいます。
大槌町は鮭の町であり、昔から鮭のイベントがありましたが、昨今の天然鮭漁獲量低迷により鮭に代わり岩手大槌サーモンがつかみ取りイベントの主役となることとなりました。水産業を生業とする大槌町の復興のシンボルとして期待されており、町の新たな産業と特産品として全国から期待されている注目のご当地サーモンです。


生産サイクル稚魚の育成から水揚げまで

発眼卵受け入れ
ー 12月中旬~4月上旬
大槌町内の湧水を使用した清潔な水で孵化、
餌付けまで飼育します。

淡水養殖(胎内養魚場)
ー 4月上旬~翌年11月上旬
大槌川上流の養魚池で、沖出しするまでの約7ヵ月間飼育します。

海面養殖
ー 11月~翌年7月
太平洋大槌町の船越湾で養殖します。
三陸の栄養豊富な海でのびのびと過ごします。

水揚げ・活〆処理
ー 5月上旬~7月中旬
電気鎮静化台を使用し、1尾1尾丁寧に活〆作業を行います。またサイズ選別も行いながら氷タンクへ入れ、すぐさまトラックで加工場へ運びます。

加工・箱詰め
ー 5月上旬~7月中旬
委託工場2カ所にて加工と箱詰めを行います。
なお、大槌サーモンはラウンド出荷とドレス出荷に対応しています。

お届け
ー 高品質の商品をお届け
水揚げした魚は当日中に箱詰めされ、全国へと出荷いたします。高鮮度・高品質な状態で、できるだけ早くお客様の元へお届けいたします。
船越湾沖合い生け簀と飼料

吉里吉里漁港から約1.4km離れた海上に、直径25mのサークル生け簀を8基据え付け、各生け簀の中央には自動給餌機を設置しています。 餌は、固形飼料のエクストルーデッドペレット(EP)という、生餌に比べて非常に高価ですが、栄養価や栄養バランスが高く、従来の配合飼料より消化吸収のよい粒子状の餌を使用しています。また浮き餌を使用することで、目視にて魚の摂餌状況を確認することができるため、食べ残しを軽減し、環境への負荷を抑制しております。
AI体測と動画カメラによる給餌システムの確立

01
AIによる魚体測定と給餌
従来は、タモで捕獲したサーモンを麻酔液で眠らせ、魚体測定(以下:体測)として1尾ずつ重さと尾叉長を手作業で計測し、各イケスの平均魚体重を出していました。しかし、正確性や時間・労力、また魚へのダメージを考え、水中カメラによる動画撮影から、AIに尾叉長と体高を読み込ませ、魚体重を導き出し数値化させるシステムを導入いたしました。その結果、飛躍的に体測のサンプル数が伸び、問題点もすべて解消することができました。
02
リアルタイム給餌の確立
今までは、給餌機下の水中1.5mに設置している静止画カメラの画像や食欲センサーの情報から、魚の状態を把握し、給餌量の調整を行っていました。そこにさらに動画カメラを導入することで、リアルタイムで魚の摂餌活性が簡単に見て取れることができるようになりました。これにより、魚の摂餌状況に応じたリアルタイムでの給餌が可能となり、給餌のチャンスロスを低減させることに成功しました。

活〆処理 - 高鮮度・高品質を保つ秘訣

「岩手大槌サーモン」は、前もって受注オーダーを計算し、前日までに出荷生け簀と呼ばれる長方形の生け簀に移しておきます。それを水揚げ当日朝に、水揚げ場まで曳航し、重機の先に付けた大ダモで次々をすくい上げていきます。その後電気鎮静化台を使用して魚を気絶させ、1尾ずつ丁寧に活〆を行っていきます。これらは多くの手間とコストがかかりますが、血抜きを行うことで死後硬直を遅らせ、長時間高い鮮度を保たせ、さらに血生臭さも低減します。 弓ヶ浜水産では、高鮮度で高品質な魚をお客様にお届けするため、全量活〆にこだわって出荷を行っております。

生産場所岩手県大槌町